| シェイプについて(II)・・・
以前から、「このコラムでシェープに関する事(理論とか)を書いたら?」といろん
な方々から勧められてきました。しかし、シェープ理論なんてものは企業秘密であり、
特許でもあれば別かもしれないけど、飯の種を公開するなんてできるはずがありませ
ん。(私には論ずるほどの大した理論も持ち得ていないけど・・・。笑)
シェーパーという仕事は、板前さんやコックさん等の職人さんと同じような仕事です。
このような職人さんは、重要な隠し技は弟子にも教えないと聞きます。だから、師匠
の仕事を見て、試行錯誤しながら技を盗むしかないと、・・・。
シェーパーも同じでなかなか教えるなんて事はしません。教えてくれる内容は、教え
ても大して重要でない事柄だけです。(肝心な隠し技は教えてくれません。)
だけど、それでも価値の有るアドバイスなのです。だって、今までは知らなかった事、
気が付かなかった事なわけですから大変な収穫です。
私はシェープの仕方を友人のシェーパー/田村君に教わりましたが、よくよく考えて
みるとシェープの方法以外のノウハウは一切教えてくれませんでした。
数値的な事を質問すると適当に誤摩化されたような気がします。
(では、どうしたかって? それはヒ・ミ・ツ!)

たまたま私は、サーフィンを始めてすぐにこの業界と係わりを持つ事になったので、
この間に沢山のシェーパーの方々と沢山のサーフボードに出会うことができました。
この20数年間に出会った沢山のシェーパーの方々とのコミュニケーションから、シェ
ープに関する理論/ヒントを、結果としていろいろと教わることができました。
(その中で、特に記憶に残っているのは、ダ・バードの伊藤満さん、ホクレアの林利
夫さん、Aクラフトの青木秀夫さん、パイオニアモス社長の田沼進三さん、ハワイの
マイケル・ウィリース。そして、シェープを始めてから大変お世話になったテイクス
の竹末和正さん、ウィザード社長の植森さん、そしてYASサーフボードの鈴木康弘/
ヤッチャンです。 謝謝!)
私が考えるシェーパー像には、「デザイン/デザイナー」と「シェープ/職人」とい
う2つの要素が求められていると思っています。
「シェープ」は、設計図の通りに正確に作る大工さんのようなものだと思います。熟
練した技術が必要で、そこにはコンマ数ミリのラインの歪みを見つけ、奇麗なライン
を集合させて美しいフォルムにするという。これを何処まで突き詰める事ができるか、
そして、それを可能にする『眼』を持っている事がシェーパーにとって大変重要です。
その究極の作業は、200〜300番台のペーパーを軽いタッチで1〜2回当てるだけという、
一見大した事のない作業です。(実は重要!)シェーパーは、この次元までラインに
こだわり、追求しているのです。
「デザイン」では、創造性豊かなクリエーティブさが要求されると思います。こんな
サーフィンがしたい、こんなサーフボードがあったら面白いだろうとか、そういった
クリエーティブなアイデアを形にする事によって、NEW DESIGN/MODELが出来上がるの
です。
そして、この2つの要素を形にするにあたっては、流体力学を使った三次元のライン
で作られたイメージを造型していくのです。
このデザイン(アウトラインも含む)というのは、かなりクリエーティブで創造性豊
かなことなので、シェーパーのセンスが最も求められる要素だろうと思います。
私は、職人としてのシェーパーであるだけでなく、デザイナーとしてのシェーパーで
もありたいと思っています。

時々、つまらないことを考えながら淡々とシェープしている事もありますが、できる
だけ楽しく、良いイメージの中でシェープするように心掛けています。
そして、このボードをオーダーしたサーファーが調子良くマニューバーを描いて、楽
しくサーフィンしているシーンをイメージしながらシェープするようにしています。
これって、かなり自分に都合の良い「想い」なのですが、こういうサーフボードには
マナ(気)が入っていて、必ず喜んで貰えるような気がしています。
(だから、神憑かり的に調子がイイはずで、 これがマジックボード製造の秘密なの
ですよ。 う〜ん、待てよ! マジックボードなんてシェープしたこと有ったかな?
笑)
テイクスの竹末さんは、「シェープに終わりはない。自分のシェープが完璧だと思っ
たら、それはシェーパーとしてそれ以上の進歩は無いだろう。そして、シェーパーと
して終った時なんだ。」と言っています。
なんと蘊蓄のある言葉だと思いませんか 、みなさん!
この言葉のとおり、シェープを重ねれば重ねるほどいろんなものが見えてきて、どん
どん奥が深くなって行くのがシェープです。
私も今、その端っこを歩き始めています。本来なら、一本にかかるシェープ時間が短
くなってイイはずなのに、どんどん長くなっています。生産効率が悪いです。
でも、「少しでも良いサーフボードをお客様に渡そう。」と思って妥協をしないとそ
うなってしまいます。(もっとシェープ料をくれ〜っ!て感じです。えっ!10年早い
ですか? やっぱし! 笑)
こんな感じで日々、3K仕事の「シェープ道?」に精進しています。
みなさん、これからは、こんなシェーパーの戯言を思い出しながらヘビーな気持ちで
サーフィンして下さい。(笑)
KEEP SURFING & GET WET!
Mahalo |