カスタムオーダーで、<悩んでしまうシェープとあまり悩まないシェープ>

  • 2009年1月 6日(火) 12:39 JST
カスタムオーダーで、<悩んでしまうシェープとあまり悩まないシェープ>という題名から、みなさんはどんな事を想像されただろうか?

悩むシェープとは、上級・エキスパート用のサーフボードのことだろうって思いました?
上級・エキスパート用のサーフボードは、車に例えるならば差し詰めスポーツカーかレーシングカーということになりますね。
「でも、違うんだなあ!これが・・・。」笑
確かに上級・エキスパート向けのサーフボードのシェープはシビアで、正確なシェーピングが要求されますのでそれなりのプレッシャーは確かにあります。
しかし、そこで求められるのは高性能なサーフボードなわけですが、カスタマー(上級・エキスパート)本人はサーフィンテクニックもパドル力も充分過ぎるほど備わっているので、最も重要なことは基本的な設計(デザイン)であり、どれだけカスタマーにジャストフィットした最高のパフォーマンスができるシェープであるかが問われるわけです。
でも、I-MODE-D SURFBOARDのレーシングカーのデザインは既に出来上がっています。
となると、やることは自分が提案する基本的なデザインをベースにカスタマーに合わせてシェープするわけですから、大抵の場合はデザインする上でさほど難しいことはなく、私はそんなに悩むことはあまりありません。

では、どんな場合か?

実は、初心者や女性向けのサーフボードに私は悩むことが多いのです。
「えっ!なんで・・・?」と思われるかもしれませんが、その理由はこの後に説明します。
が、私はそうなんですよ。笑

サーフィン雑誌(カタログ号)などに掲載されている初心者用のサーフボードというと、ほとんどのサーフボードが長めのサイズに広めの幅で厚め、BOTTOMはVEEか軽いSINGLE-DOUBLE CONCAVEにTAILがSQUASHのTRIFINというのが定番中の定番です。
確かにオーソドックスで間違ってはいないけどベストだとは私には思えないし、ちょっと手抜きのような気もしなくはありません。
今は安価な中国製や台湾製がほとんどのようですが、かつてはビギナーシェーパーの練習台だったりして初心者用のサーフボードは昔から安易に考えられていたのだと思います。

でも、本当にこれで良いのでしょうか?

シェープのテクノロジーは日々進歩しているのに、そのノウハウが初心者用だからといってフィードバックされていないなんて手抜き以外の何物でもないというか、初心者用サーフボードを軽視しているとしか私には思えません。
本来は、初心者だからこそ、初心者の方々に上達して楽しんでもらう為にもっともっと良いシェープ(デザイン)をすべきだと私は思っていますし、私は分け隔てなくクオリティーの高いサーフボードを使ってもらえるようにシェープしています。

=もしかしたら、その理由はコストパフォーマンスっていうことなのでしょうか?=

私が考える初心者用のサーフボードは、テイクオフが早くて波に沢山乗れる事、そして操作しやすく乗りやすい事です。
そうなると、サーフボードが長いとテイクオフは楽でも技術のない初心者には望んだとおりにサーフボードをコントロールできません。
ということは、サーフボードの長さをある程度短くしてコントロールしやすい長さにし、パドル力がないので、これを補うだけのパドルのスピードとテイクオフの早さを兼ね備えたサーフボードにしなくてはなりません。
(相反する2つのファクターを1本のサーフボードに求められているわけです。私には、これが厄介で悩ましいのです。)
そして、身長、体重、年齢、カスタマーの要望などの条件をクリアーしつつ、最も良いデザイン(アイデア)を考えなくてはならないのです・・・だから<悩む>のです。(理解して貰えました?笑)

=ただテイクオフが早くて波に沢山乗るだけだったらロングボードで始めた方がイイですよね。=

パドル力のある上級者の女性は別として、パドル力のない女性用のサーフボードも同じように悩むことが多いです。
パドル力を浮力でカバーすると、体重が軽い女性のサーフボードはオーバーフロー過ぎてしまうとパドルスピードが出ていない状況で浮く力だけが強くなり水の上でフワフワ、波のトップからボトムへサーフボードが滑り降りないなんてことも・・・しかし、浮力を落とせばパドルもテイクオフも遅くなって更に波に乗れません。
また、幅を広くして安定感を出したつもりが、腕が短いために効率の良いパドルができないなど・・・このような様々な不都合が発生するんです。
他にも"ああすれば、こうなる的"な不都合がしばしば起こります。
それをどんなアイデアでバランス良く上手に解決するかがデザイナー(シェーパー)の腕の見せ所なのです。

「初心者だから最初はそんなに良いサーフボードでなくていいです。」という言葉を聞くことがあります。
それは予算的な事を意味しているのかもしれません。(だとしたら、それは理解できますけどね・・・。笑)
もし、これがサーフボードのクオリティーを指しているのであれば、それは大きな間違いです。
初心者だからこそサーフボードのクオリティーが上達の為には大事なんだということをここで述べておきます。
だって、せっかくサーフィンという面白い遊びに出会ったのに乗れなくて辞めてしまったら寂しいではありませんか・・・。
サーフィンはそんなに甘くはありません。

調子が良いか悪いかは別として筋力とスキルのある上級・エキスパートの方々はどんなサーフボードでも乗ることができますが、筋力(パドル)もスキルも足りない初心者や女性の方々にとってサーフボードでその不足分を補わなくてはなりません。
でも、これをどうやって個々のケースに合わせて上手に補うかが本当に難しく悩ましい課題なのです。

「みなさん、理解して頂けけましたでしょうか?分かんない?でも、悩むんですよ。」笑



Mahalo